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雲はみな払ひはてたる秋風を
松に残して月を見るかな

歌の意味
雲はすべて払い尽くした、その秋風を松に残しておいて、月を見ることだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 418

詞書「五十首歌たてまつりし時」
 雲と月の一連を承け、雲を払った風を松に残して月を見ると詠む。詞書によれば五十首歌を詠進した折の一首である。
 作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。本巻では第三百九十三首ほかに続く登場となる。
 場面は秋の夜、場所は松のあるところである。
 直接の契機は五十首歌の詠進である。

 初句
二句「雲はみな払ひはてたる」の「はつ」はすっかり〜しきる意である。第四百十一首の経信歌が「雲吹き払ふ」と詠んだのと同じ働きであるが、こちらは払い終えた後である。
 三句「秋風を」で、その風が示される。
 四句「松に残して」は、風を松に残しておいて、の意である。仕事を終えた風を松の音として置き去りにし、自分は月を見る。風と月とを役割で分ける構成になっている。
 結句「月を見るかな」は「かな」の詠嘆で結ばれる。第四百十一首
第四百十二首が風によって月が現れることを詠んだのに続き、この歌は風を松に預けて月に向かう。風の処理の仕方に工夫があり、次の第四百十九首では逆に松の風が心を乱す。

はつ:すっかり〜しきる
のこす:あとに残す
まつ:松の木
作者
藤原良経
出典
新古今和歌集
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