秋の夜の長きかひこそなかりけれ
待つに更けぬる有明の月
- 歌の意味
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秋の夜が長いことの甲斐もなかったのだ。待つうちに夜が更けてしまった、有明の月よ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 421
詞書「題しらず」
前歌の待つ夜を受け、長い秋の夜が待つうちに過ぎたと詠む。詞書は「題しらず」で、詠作の事情は伝わっていない。
作者の「右大将忠経」は藤原忠経(一一七七〜一二二五)である。右大将を務めた。
場面は秋の夜明け近く、場所は特定されない。
詠まれた直接の契機は伝わらない。
初句
二句「秋の夜の長きかひこそ」の「かひ」は効き目、もうけをいう。第四百四首の慈円歌でも用いられた語である。秋の夜が長いのは待つ側にとって利点であるはずだ、という前提が置かれる。
三句「なかりけれ」は「こそ」の結びで已然形となる。その利点がなかった、と否定される。
四句「待つに更けぬる」は、待つうちに更けてしまった、の意である。長い夜も、待って過ごせば同じように尽きる。
結句「有明の月」は体言止めである。有明の月は夜が明けてもなお残る月で、本巻の第三百九首から第三百十二首の一連でも用いられた語である。待っていたものが来ないまま夜が明けようとしており、巻第三の第二百九首の良経歌が「待つ夜ながらに」と夜の進行と待つ心の停滞を対比したのと同じ構図である。
かひ:効き目。もうけ
ふく:夜が更ける
ありあけ:夜が明けてもなお空に残る月
- 作者
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藤原忠経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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