稲葉吹く風に任せてすむ庵は
月ぞまことにもりあかしける
- 歌の意味
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稲の葉を吹く風に任せて住んでいる庵では、月こそがまことに漏れ入り、また田を守って夜を明かすのだった。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 428
詞書は前の歌に続き「田家月」
田の庵の三首目である。庵に住む者ではなく、月のほうが田を守って夜を明かすと詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
作者の「皇太后宮大夫俊成女」は藤原俊成の孫で、その養女となった女性である。本巻では第三百九十一首に続く三度目の登場となる。
場面は秋の夜、場所は田の庵である。
直接の契機は和歌所の歌合への出詠である。
初句「稲葉吹く」は稲の葉を吹く、の意である。巻第一の第六十一首の良経歌でも「稲葉の風」と詠まれていた。
二句「風に任せて」は、風のするままに任せて、の意である。巻第一の第三百二十九首の頼政歌、巻第三の第百十一首の貫之歌と同じく、自然に任せる姿勢が示される。
三句「すむ庵は」の「すむ」は、住む意と、月が澄む意との掛詞である。本巻の第三百七十四首
第三百八十首
第四百首でも用いられた掛詞である。
四句「月ぞまことに」の「まことに」は、本当に、の意である。人ではなく月こそが、という限定になる。
結句「もりあかしける」の「もり」は、光が漏れる意と、田を守る意との掛詞である。前歌の第四百二十六首と同じ掛詞であり、二首が語を共有している。「あかす」は夜を明かす意で、田を守る者の務めである。庵に住む者が風任せに過ごすのに対し、月のほうが番人の役を果たしているという理屈になる。
いなば:稲の葉
すむ:住む意と、月が澄む意を掛ける
もり:光が漏れる意と、田を守る意を掛ける
- 作者
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藤原俊成女
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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