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秋の田のかりねの床の稲筵
月宿れども敷ける露かな

歌の意味
秋の田の、仮寝の床とする稲筵よ。月は宿るけれども、そこに敷いているのは露であることだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 430

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 田の庵の一連に戻り、田で仮寝する床を詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
 作者の大中臣定雅は平安時代後期から鎌倉時代初期にかけての歌人である。伊勢神宮の祭主の家に連なる。
 場面は秋の夜、場所は秋の田である。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「秋の田の」で場所が定まる。
 二句「かりねの床の」の「かりね」は、仮寝すなわち仮の眠りの意と、刈った稲の根の意との掛詞である。下の「稲筵」を導く働きをもつ。
 三句「稲筵」は稲藁で編んだ筵をいう。巻第一の第七十一首の崇徳院歌でも用いられた語で、そちらは柳の枝を筵に見立てていた。
 四句「月宿れども」の「ども」は逆接である。月は宿るのに、と下に転じる。
 結句「敷ける露かな」は体言止めである。筵は敷くものであるから、「敷く」はその縁語となる。敷いてあるのは筵ではなく露であり、寝床が濡れていることになる。月の光と露とがともに床にあるという構成であり、第四百二十六首以来の田の一連が、労働と眠りの場を舞台としてきたことに連なる。

かりね:仮の眠りの意と、刈った稲の根の意を掛ける
いなむしろ:稲藁で編んだ筵
しく:敷く。「筵」の縁語
作者
大中臣定雅
出典
新古今和歌集
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