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さらにまた暮れをたのめと明けにけり
月はつれなき秋の夜の空

歌の意味
さらにまた夕暮を待てというように夜が明けてしまった。月は素知らぬさまの、秋の夜の空よ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 434

詞書「千五百番歌合に」
 夜明けとともに月が去ることを詠む。詞書によれば千五百番歌合に出された歌である。
 作者の「左衛門督通光」は源通光である。内大臣源通親の子で、のち太政大臣に至った。本巻では第四百十二首に続く四度目の登場となる。
 場面は秋の夜明け、場所は特定されない。
 直接の契機は歌合への出詠である。

 初句「さらにまた」は、そのうえさらに、の意である。前の夜も同じであったことが含まれる。
 二句「暮れをたのめと」の「たのむ」は人に期待を抱かせる意で、本巻の第三百七十五首
第三百七十六首
第四百八首でも用いられた語である。また夕暮を待てと言わんばかりに、の意になる。「と」は引用である。
 三句「明けにけり」の「けり」は詠嘆で、明けてしまったという気づきを表す。
 四句「月はつれなき」の「つれなし」は素知らぬさま、平然としているさまをいう。本巻の第二百九十九首の解説で触れたとおり、第二百九首
第二百三十五首
第二百五十九首でも月について用いられた語である。
 結句「秋の夜の空」は体言止めである。月は毎夜同じことを繰り返し、こちらだけが期待して待たされる。第四百二十一首の忠経歌が待つうちに夜が明けたと詠んだのに続き、この歌は明日への期待まで持ち越されることを詠む。

たのむ:人に期待を抱かせる
つれなし:素知らぬさまである。平然としている
あく:夜が明ける
作者
源通光
出典
新古今和歌集
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