野分せし小野の草ぶし荒れ果てて
深山に深きさを鹿の声
- 歌の意味
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野分が吹き荒れた小野の草の寝床はすっかり荒れ果ててしまい、深い山のさらに奥から、さ牡鹿の声が聞こえてくる。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 439
詞書は前の歌に続き「百首歌奉りし時」
鹿を詠む一連の三首目である。野分で小野の寝所が荒れ、鹿は深山の奥へ移ってその声だけが聞こえる。詞書によれば、前歌と同じ百首歌の中の一首である。
作者は俗名を藤原定長といい、藤原俊成の甥にあたり、その猶子となった。新古今集の撰者に任ぜられたが、撰進を見ずに没した。
場面は野分の過ぎた後の秋、場所は荒れた小野と、その奥の深山である。
直接の契機は、前歌と同じく正治二年(1200)の後鳥羽院初度百首への詠進である。
初句「野分せし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、野分が吹いた後であることを示す。野分は秋に野の草を吹き分ける強い風である。前歌の「山おろし」を受けて、風の過ぎた後の景へと移る。
二句「小野の草ぶし」の「小」は接頭語で、「草ぶし」は鹿が草むらに伏して寝る所である。
三句「荒れ果てて」で、その寝所がすっかり荒れてしまったことが述べられる。
四句「深山に深き」は、「深山」に「深き」を重ねて、奥のさらに奥であることを強める。寝所を失った鹿が、深山へ移ったことが暗示される。
結句「さを鹿の声」は体言止めで、荒れた野の景と遠い声の余情を残す。この結句は本巻の第四百四十二首、第四百四十四首と同じであり、三首が風に運ばれる鹿の声の一連の骨組みをなす。また小野に鹿が伏す趣向は第四百五十首「朝伏す小野」に現れ、寝所が荒れて鹿が去る本歌に対し、そちらでは寝所に鹿が独り伏しており、構図が反転している。
のわき:秋に野の草を吹き分けるほどの強い風
くさぶし:鹿などが草むらに伏して寝る所
みやま:奥深い山
さをしか:牡鹿。「さ」は接頭語
- 作者
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寂蓮
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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