夜もすがら妻問ふ鹿の鳴くなへに
小萩が原の露ぞこぼるる
- 歌の意味
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一晩じゅう妻を求めて鹿が鳴くのにつれて、小萩の原の露がこぼれ落ちる。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 446
詞書「家に歌合し侍りけるに、鹿をよめる」
鹿を詠む一連の十首目である。一晩じゅう妻を求めて鹿が鳴くにつれて、小萩の原の露がこぼれ落ちる。詞書によれば、自邸で催した歌合で「鹿」を題として詠まれた。
作者は藤原忠家の子で、権中納言に至った。藤原俊成の父で、御子左家の祖である長家の孫にあたる。
場面は秋の夜通し、場所は萩の咲く野原である。
直接の契機は、作者の自邸で催された歌合での「鹿」の題による詠である。
初句「夜もすがら」は、一晩じゅう、の意である。本巻の第四百四十五首、第四百四十七首の寝覚めの夜と同じ時間の中にある。
二句「妻問ふ鹿の」の「妻問ふ」は、妻を求めて呼びかける意である。第四百四十首、第四百四十一首の妻を恋う鹿を受ける。
三句「鳴くなへに」の「なへに」は、「…するにつれて、…するとともに」の意で、鹿の鳴くことと、次の露のこぼれることが同時に進むことを示す。
四句「小萩が原の」の「小」は接頭語である。萩は古来鹿の妻に見立てられる花で、鹿が萩の原で妻を求めて鳴く取り合わせとなる。
結句「露ぞこぼるる」の「ぞ」は強意の係助詞で、下二段動詞「こぼる」の連体形「こぼるる」で結ぶ。萩が揺れてこぼれる露に、妻を恋う鹿の涙の見立てが重なる。萩の原の露は、第四百六十一首から続く露の歌群を先取りするものでもある。
つまどふ:妻を求めて呼びかける
こはぎがはら:萩の咲く野原。「小」は接頭語
こぼる:こぼれ落ちる
- 作者
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藤原俊忠
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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