山里の稲葉の風に寝覚めして
夜深く鹿の声を聞くかな
- 歌の意味
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山里で稲の葉をそよがせる風の音に目を覚まし、夜更けに鹿の声を聞くことだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 449
詞書「白河院鳥羽におはしましけるに、田家秋興といへることを人々よみ侍りけるに」
鹿を詠む一連の十三首目である。山里の稲葉を吹く風に目を覚まし、夜更けに鹿の声を聞く。詞書によれば、白河院が鳥羽殿に滞在していた折、「田家秋興」を題として人々が詠んだ中の一首である。
作者は村上源氏の右大臣源師房の四男で、正二位大納言に至り、壬生大納言とも号した。中宮大夫は中宮職の長官である。
場面は秋の夜更け、場所は稲の実る山里である。
直接の契機は、白河院が京の南の離宮鳥羽殿に滞在していた折の歌会で、「田家秋興」の題が出されたことである。鳥羽殿は鴨川と桂川の合流するあたりに白河院が造営した離宮である。
初句「山里の」で、題の「田家」にあたる場が示される。
二句「稲葉の風に」は、田に実る稲の葉をそよがせて吹く風に、の意である。前歌の山田と庵を受けて、田の稲葉が出される。
三句「寝覚めして」は、その葉ずれの音で夜中に目を覚ました、の意である。本巻の第四百四十七首と同じ句で、寝覚めの歌の一連を締めくくる。
四句「夜深く鹿の」は、夜がまだ深いうちに鹿の、の意である。
結句「声を聞くかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。稲葉の風の音で目覚め、さらに鹿の声を聞くという音の重なりによって、題の「秋興」、山里の秋の夜の深い趣が表される。「稲葉」と「風」は第四百五十三首「稲葉にかぎる秋の風かは」で再び取り上げられ、そちらでは稲葉を吹く秋風が庵を守る者の袖を濡らすものとして詠まれる。
いなば:稲の葉
とばどの:京の南、鴨川と桂川の合流するあたりに白河院が造営した離宮
ちゆうぐうだいぶ:中宮に関する事務をつかさどる中宮職の長官
- 作者
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源師忠
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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