きりぎりす夜寒に秋のなるままに
弱るか声の遠ざかりゆく
- 歌の意味
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夜が寒くなるほどに秋が深まってゆくにつれて、きりぎりすは弱ってゆくのか、その声が遠ざかってゆく。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 472
詞書「題しらず」
虫を詠む一連の一首目である。夜寒になるにつれて、きりぎりすが弱ったのか、その声が遠ざかってゆくと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。家集に『山家集』がある。
場面は夜寒の深まる晩秋の夜、場所はきりぎりすの鳴く住まいのあたりである。
直接の契機は伝わらない。
初句「きりぎりす」は、今のこおろぎにあたる虫である。露の一連を終え、ここから虫の歌に移る。
二句「夜寒に秋の」の「夜寒」は、秋が深まって夜が寒く感じられることである。
三句「なるままに」は、…になるにつれて、の意で、時の経過を示す。本巻の第四百五十一首「梢まばらになるままに」と同じ句で、そちらでは落葉とともに鹿の音が深く届くようになったのに対し、本歌では寒さとともに虫の声が遠ざかってゆき、音の近づきと遠ざかりが対照をなす。
四句「弱るか声の」の「か」は疑問の係助詞で、虫が弱ったのかと推し量る。ここで一度切れる。
結句「遠ざかりゆく」は、声が次第に遠のいてゆく、の意である。実際に虫が遠くへ去るのではなく、声が細くなることを遠ざかると聞きなしたもので、秋の終わりに向かう寂しさが声の変化によって表されている。
きりぎりす:今のこおろぎ
よさむ:秋が深まり、夜の寒さが身にしみること
よわる:弱くなる、衰える
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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