まどろまで眺めよとてのすさびかな
麻のさ衣月に打つ声
- 歌の意味
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まどろまずに月を眺めよという心づもりのなぐさみなのだろうか。月の光の下で麻の衣を打つ音は。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 479
詞書は前の歌に続き「和歌所歌合に、月のもとに衣打つといふことを」
擣衣を詠む一連の五首目である。月の光の下で麻の衣を打つ音を、まどろまずに月を眺めよという慰みかと聞きなす。詞書は前の歌に続き、和歌所の歌合で「月のもとに衣打つ」を題として詠まれた。
作者は源師光の娘で、後鳥羽院に仕えた女房歌人である。若くして歌才を認められ、院の歌壇で活躍したが、早世した。
場面は月の照る秋の夜、場所は砧の音の聞こえる住まいである。
直接の契機は、前歌と同じ和歌所の歌合で、「月下擣衣」の題が出されたことである。
初句「まどろまで」の「で」は打消の接続助詞で、まどろまずに、の意である。
二句「眺めよとての」の「眺め」は、もの思いにふけりながら見やる意で、ここでは月を眺めることを言う。「とて」は、…と思って、…というつもりで、の意である。
三句「すさびかな」の「すさび」は、気の向くままにするなぐさみごとで、「かな」は詠嘆の終助詞である。ここで句が切れる。
四句「麻のさ衣」の「さ」は接頭語で、麻で織った粗末な衣を指す。
結句「月に打つ声」は、月の光の下で衣を打つ砧の音で、体言止めである。夜更けまで響く砧の音を、眠らずに月を眺めよという打ち手の慰みかと、ずらした理由づけで聞きなしており、題の「月」と「衣打つ」を結ぶ。第四百七十六首、第四百七十七首では砧の音が夢や眠りを妨げるものとして詠まれたが、本歌では眠らずに月を眺めさせるものと転じており、同じ音の受け止め方が反転している。前歌の第四百七十八首とは同じ題で、恨みの心と慰みの心とに詠み分けられている。
まどろむ:うとうとと眠る
ながむ:もの思いにふけりながら見やる
すさび:気の向くままにするなぐさみごと
- 作者
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宮内卿
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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