ひとり寝る山鳥の尾のしだり尾に
霜置きまよふ床の月影
- 歌の意味
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独り寝をする山鳥の長く垂れた尾に、霜が置いたかと見まがうほどに、寝床に差し込む月の光よ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 487
詞書「百首歌奉りし時」
月と秋の夜を詠む一連の二首目である。独り寝をする山鳥の垂れた尾に霜が置いたかと見まがうほど、寝床に月の光が差していると詠む。詞書によれば、百首歌の中の一首として詠まれた。
作者は藤原俊成の子で、新古今集の撰者の一人であり、のちに権中納言に至った。
場面は霜の置くころの秋の夜、場所は月の光の差し込む独り寝の寝床である。
直接の契機は百首歌の詠作である。新古今集でこの詞書は、正治二年(1200)の後鳥羽院初度百首を指すことが多い。
拾遺集恋三の柿本人麿「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む」を本歌とする。本歌は、山鳥の長く垂れた尾のように長い秋の夜を独りで寝ることかと嘆いた歌で、小倉百人一首にも採られる。山鳥は、夜には雌雄が峰を隔てて別々に寝るとされ、独り寝の象徴として詠まれた。
初句「ひとり寝る」は、独りで寝る、の意で、本歌の結句「ひとりかも寝む」を取っている。
二句「山鳥の尾の」は、本歌の二句をそのまま取り、雌雄が離れて寝るとされる山鳥を置く。
三句「しだり尾に」の「しだり尾」は、長く垂れ下がった尾である。本歌では夜の長さを導く序であったが、本歌では霜の置く場として実景のように用いられる。
四句「霜置きまよふ」は、霜が置いたかと見まがう、霜と月光とが入り乱れる、の意である。本巻の第四百八十六首の袖に置く露から、霜へと景物が移っている。
結句「床の月影」は体言止めで、寝床に差し込む月の光を示し、それが山鳥の尾に置く霜のように白く見えることを表す。本歌の山鳥の尾と独り寝を取りながら、長夜の嘆きを、月光を霜に見立てる冴えた景に転じた本歌取りである。独り寝の嘆きは第四百五十七首「いかでかひとり長き夜を寝ん」とも響き合う。
やまどり:キジ科の鳥。雌雄が峰を隔てて寝るとされ、独り寝の象徴として詠まれる
しだりを:長く垂れ下がった尾
おきまよふ:霜などが置いたかと見まがう、入り乱れて置く
- 作者
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藤原定家
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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