麓をば宇治の川霧立ちこめて
雲居に見ゆる朝日山かな
- 歌の意味
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麓を宇治の川霧がすっかり包み隠して、雲の上に浮かんで見える朝日山であることよ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 494
詞書「堀河院御時百首歌奉りけるに、霧をよめる」
霧を詠む一連の四首目である。宇治の川霧が麓を包み隠し、朝日山が雲の上に浮かぶように見えると詠む。詞書によれば、堀河天皇の代に奉った百首歌の中の霧の歌である。
作者は藤原実季の子で、権大納言に至った。
場面は秋の朝、場所は宇治川の流れる宇治の里と朝日山である。朝日山は宇治川の東岸にある山城国の歌枕である。
直接の契機は、堀河天皇の代に歌人たちが百首歌を詠進した、いわゆる堀河百首への詠進である。
初句「麓をば」の「をば」は、格助詞「を」に係助詞「は」が付いたもので、麓を他と区別して強く示す。
二句「宇治の川霧」は、宇治川から立つ霧である。前歌の第四百九十三首と同じく川霧を詠む。
三句「立ちこめて」は、霧が一面に立って麓を包み隠すさまである。
四句「雲居に見ゆる」の「雲居」は雲のあるはるかな所で、麓が隠れたために、山の上部だけが雲の上に浮かんで見えることを言う。
結句「朝日山かな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。麓を霧に隠し山頂のみを浮かび上がらせる構図で、朝日山の名に朝の光を感じさせつつ、霧による上下の対比を鮮やかに描く。前歌の第四百九十三首が霧の中の川面の舟を見たのに対し、本歌は霧の上に出た山を見ており、同じ川霧を下と上とで描き分けている。
くもゐ:雲のあるはるかな所、空
たちこむ:霧などが一面に立ちこめる
- 作者
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藤原公実
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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