- 歌の意味
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山里で、霧の籬が隔てていなかったなら、遠くを行く人の袖も見ることができただろうに。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 495
詞書「題しらず」
霧を詠む一連の五首目である。山里で霧が籬のように隔てていなければ、遠くの人の袖も見えただろうにと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は平安中期の歌人で、丹後掾を務めたことから曽丹とも呼ばれた。
場面は霧の立ちこめる秋、場所は山里である。
直接の契機は伝わらない。
初句「山里に」で、場所が山里と定められる。
二句「霧の籬の」の「籬」は、竹や柴で目を粗く編んだ垣で、立ちこめる霧を垣に見立てている。
三句「隔てずは」の「ずは」は、…しないならば、の意の仮定で、結句の「まし」と呼応する。
四句「遠方人の」の「遠方人」は、遠くにいる人、遠くを行く人である。
結句「袖も見てまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、実際には霧に隔てられて見えないことを表す。霧を籬に見立て、隔てるものとして詠む機知の歌である。第四百九十三首では秋霧の中に人の袖がほの見えたが、本歌では霧が隔てて遠方人の袖が見えないといい、同じ「人の袖」を見える側と見えない側とで反転させている。次歌の第四百九十六首は霧のために雁の声だけを聞くと詠み、見えないものを聞く方へ移ってゆく。
まがき:竹や柴で目を粗く編んだ垣
へだつ:間に置いてさえぎる
をちかたびと:遠くにいる人、遠くを行く人
- 作者
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曽禰好忠
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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