垣穂なる荻の葉そよぎ秋風の
吹くなるなへに雁ぞ鳴くなる
- 歌の意味
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垣根の荻の葉がそよいで、秋風の吹く音がするのにつれて、雁の鳴く声が聞こえる。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 497
詞書は前の歌に続き「題しらず」
雁を詠む一連の一首目である。垣根の荻の葉をそよがせて秋風が吹くのにつれて、雁の鳴く声が聞こえると詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は飛鳥時代、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた歌人である。
場面は秋風の吹きはじめる秋、場所は荻の生える垣根のある住まいである。
直接の契機は伝わらない。
万葉集巻十の作者未詳歌「葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の吹き来るなへに雁鳴き渡る」の異伝で、初句と四句、結句が異なる。
初句「垣穂なる」の「垣穂」は垣根で、「なる」は存在を表し、垣根にある、の意である。
二句「荻の葉そよぎ」の「荻」は水辺などに生える丈の高い草で、その葉が風にそよぐ音は秋風の訪れを告げるものとして詠まれる。
三句「秋風の」は、四句の「吹く」の主語を示す。
四句「吹くなるなへに」の「なる」は音声にもとづく推定の助動詞「なり」の連体形、「なへに」は、…するにつれて、の意で、荻の葉音によって秋風を聞き取り、それと同時に次の雁の声が聞こえることを示す。
結句「雁ぞ鳴くなる」の「ぞ」は強意の係助詞で、推定の「なる」で結ぶ。荻の葉音、秋風の音、雁の声と、耳に届く音を重ねて、雁の来る秋の訪れを聴覚だけで描く。前歌の第四百九十六首が霧のため雁の声ばかりを聞いたのを受け、雁の一連を聴覚の歌から始めている。「なへに」は第四百九十九首「なるなへに」でも用いられる。
かきほ:垣根
をぎ:水辺などに生える丈の高い草。その葉音は秋風の訪れを告げるものとして詠まれる
そよぐ:草木の葉などが触れ合って音を立てる
- 作者
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柿本人麿
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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