- 歌の意味
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初雁の羽ばたく風が涼しくなるにつれて、旅寝をする人で、誰が衣を裏返して寝ないことがあろうか。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 499
詞書は前の歌に続き「題しらず」
雁を詠む一連の三首目である。初雁の羽風が涼しくなるにつれ、旅寝の人は誰もが衣を返して寝るだろうと詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は平安前期の歌人で、古今集の撰者の一人である。
場面は初雁の渡る秋の夜、場所は旅先の宿りである。
直接の契機は伝わらない。
夜の衣を裏返して寝ると恋しい人を夢に見るという俗信があり、古今集恋二の小野小町「いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣を返してぞ着る」にも詠まれている。
初句「初雁の」の「初雁」は、秋になって初めて渡って来る雁である。本巻の第五百一首、第五百五首でも初雁が詠まれる。
二句「羽風涼しく」の「羽風」は鳥が羽ばたいて起こす風で、第四百五十八首「雁の羽風」と同じ語である。
三句「なるなへに」の「なへに」は、…するにつれて、の意で、第四百九十七首「吹くなるなへに」と同じ語の運びである。
四句「誰か旅寝の」の「か」は反語の係助詞で、結句の「ぬ」と係り結びをなす。「旅寝」は旅先で寝ることである。
結句「衣返さぬ」の「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形で、誰が衣を返さないだろうか、みな返す、の意となる。夜の衣を裏返して寝れば恋しい人を夢に見るという俗信を踏まえ、秋の涼しさに家を恋しく思う旅人の心を、誰もがそうするはずだという反語で強めている。雁が旅人と家とを思わせる点で、第四百八十一首の旅の空に故郷の擣衣を告げる雁とも響き合う。
はつかり:秋になって初めて渡って来る雁
はかぜ:鳥が羽ばたいて起こす風
たびね:旅先で寝ること
かへす:裏返す
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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