秋風に山飛び越ゆる雁がねの
いや遠ざかり雲隠れつつ
- 歌の意味
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秋風に乗って山を飛び越えてゆく雁が、いよいよ遠ざかり、雲に隠れながら去ってゆく。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 498
詞書は前の歌に続き「題しらず」
雁を詠む一連の二首目である。秋風に乗って山を飛び越える雁が、いよいよ遠ざかって雲に隠れてゆくと詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
本歌には作者名が記されておらず、前歌を受けて人麿の歌として配されている。作者は飛鳥時代、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた歌人である。
場面は秋風の吹く秋、場所は雁の越えてゆく山の見える所である。
直接の契機は伝わらない。
万葉集巻十の作者未詳歌「秋風に山飛び越ゆる雁がねの声遠ざかる雲隠るらし」の異伝で、四句と結句が異なる。
初句「秋風に」は、秋風に乗って、の意である。
二句「山飛び越ゆる」は、山を飛び越えてゆく、の意で、雁の渡りの大きな動きを示す。
三句「雁がねの」の「雁がね」は、ここでは雁そのものを指す。
四句「いや遠ざかり」の「いや」は、いよいよ、ますます、の意で、雁が次第に遠のくさまを示す。本巻の第四百七十二首では虫の声が「遠ざかりゆく」と詠まれたが、本歌では雁の姿が遠ざかる。
結句「雲隠れつつ」の「つつ」は継続を表す接続助詞で、雲に隠れながら遠ざかってゆく余情を残して止める。前歌の第四百九十七首が雁の来る声を聞いたのに対し、本歌は去りゆく雁の姿を見送っており、来る雁と去る雁、聴覚と視覚とが対をなす。「山飛び越ゆる」は第五百一首でも用いられ、そちらでは初雁の声として詠まれる。
かりがね:雁。もとは雁の鳴く声をいう
くもがくる:雲に隠れる
- 作者
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柿本人麿
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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