- 歌の意味
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大江山に西へ傾く月の光が冴えわたる中、鳥羽の田の面へと降りてゆく雁の声が聞こえる。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 503
詞書「五十首歌奉りし時、月前聞雁といふことを」
雁を詠む一連の七首目である。大江山に傾く月の光が冴える中、鳥羽の田の面に降りてゆく雁の声を詠む。詞書によれば、五十首歌の中で「月前聞雁」を題として詠まれた。
作者は関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟にあたる。天台座主を四度務め、歴史書『愚管抄』を著した。
場面は月の傾く秋の夜更けから明け方、場所は京の南の鳥羽の田と、西に望む大江山である。大江山は山城国と丹波国の境にある歌枕で、鳥羽は京の南、鴨川と桂川の合流するあたりである。
直接の契機は、後鳥羽院に奉った五十首歌の中で「月前聞雁」の題が出されたことである。
初句「大江山」は、京の西、山城と丹波の境の山で、月の沈む方角を示す。
二句「傾く月の」は、西へ傾いてゆく月の、の意で、夜更けから明け方への時を示す。
三句「影冴えて」の「影」は月の光で、冷たく澄みわたるさまである。題の「月前」にあたる。
四句「鳥羽田の面に」の「鳥羽田」は鳥羽の田である。前歌の第五百二首「門田の面」を受けて、同じく田の面を置く。第四百四十九首で白河院が滞在した鳥羽の地でもある。
結句「落つる雁がね」は体言止めで、「落つる」は雁が空から田に降り立つ意、「雁がね」は雁の鳴く声である。題の「聞雁」にあたる。西の大江山に傾く月と、南の鳥羽田に降りる雁という遠近の広がりの中に、冴えた月光と雁の声を配した構図である。前歌の第五百二首では空を行く雁が田に残る友を慕ったが、本歌では雁そのものが田の面へ降りてゆき、空と田とが結ばれる。
かたぶく:月などが西に沈みかける
おつ:空から降りる
かりがね:雁の鳴く声。また雁
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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