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吹き迷ふ雲居を渡る初雁の
翼にならす四方の秋風

歌の意味
風の吹き乱れる空を渡ってゆく初雁の翼に、四方から吹く秋風が音を立てている。
鑑賞
巻第五 秋歌下 505

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 雁を詠む一連の九首目である。風の吹き乱れる空を渡る初雁の翼に、四方の秋風が音を立てると詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者は藤原俊成の孫にあたり、その養女となった。後鳥羽院に仕えた女房歌人である。
 場面は初雁の渡る秋、場所は風の吹き乱れる空の下である。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「吹き迷ふ」は、風が方向定まらず吹き乱れる、の意である。
 二句「雲居を渡る」の「雲居」は空で、空を渡ってゆく、の意である。
 三句「初雁の」は、秋に初めて渡って来た雁の、の意である。第四百九十九首、第五百一首に続いて初雁が詠まれる。
 四句「翼にならす」の「ならす」は、音を立てる意で、雁の翼に秋風が当たって鳴るさまを言う。
 結句「四方の秋風」は体言止めで、四方から吹く秋風を示す。吹き乱れる空の風を、初雁の翼に集まって鳴る音としてとらえ、雁の飛ぶ空の広がりと秋風の激しさとを一つに収める。前歌の第五百四首では雁の羽風が雲を払ったが、本歌では秋風が雁の翼に当たって鳴り、雁と風の働きかけが反転している。次歌の第五百六首とは「翼」「秋風」を共有する。

ふきまよふ:風が方向定まらず吹き乱れる
くもゐ:空
ならす:音を立てる
作者
藤原俊成女
出典
新古今和歌集
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