霜を待つ籬の菊の宵の間に
置きまよふ色は山の端の月
- 歌の意味
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霜が置くのを待っている籬の菊に、宵のうちから霜が置いたかと見まがう白い色は、山の端に出た月の光であった。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 507
詞書「五十首歌奉りし時、菊籬月といへる心を」
菊を詠む一連の一首目である。霜を待つ籬の菊に、宵のうちから霜が置いたかと見まがう白さは、山の端の月の光であったと詠む。詞書によれば、五十首歌の中で「菊籬月」を題として詠まれた。
作者は源師光の娘で、後鳥羽院に仕えた女房歌人である。若くして歌才を認められ、院の歌壇で活躍したが、早世した。
場面は晩秋の宵、場所は菊の咲く籬のある庭である。
直接の契機は、後鳥羽院に奉った五十首歌の中で「菊籬月」の題が出されたことである。菊は霜に当たって色が移ろうさまも賞美され、霜を待つ花として詠まれる。
なお本文の結句は「山の葉の月」と表記するが、読み仮名の行は「やまのはのつき」とあり、山の端の意に解して「山の端」と表記した。
初句「霜を待つ」は、霜が置くのを待つ、の意で、霜によって色の移ろう菊を擬人化している。
二句「籬の菊の」の「籬」は、竹や柴で目を粗く編んだ垣である。題の「籬」「菊」にあたる。
三句「宵の間に」は、夜のまだ浅いうちに、の意で、霜の置くはずのない早い時刻であることを示す。
四句「置きまよふ色は」の「置きまよふ」は、霜が置いたかと見まがう、の意である。本巻の第四百八十七首「霜置きまよふ床の月影」と同じく、月の光を霜に見立てている。
結句「山の端の月」は体言止めで、霜と見えた白さの正体を最後に明かす。宵の間に霜が置くはずはないという理屈から、それが山の端に出た月の光であると解き明かす構成で、題の「月」を結句に置いている。第四百八十七首が寝床の月光を山鳥の尾の霜に見立てたのに対し、本歌は籬の菊に置く霜に見立て、同じ「置きまよふ」を菊の歌に移している。
まがき:竹や柴で目を粗く編んだ垣
おきまよふ:霜などが置いたかと見まがう
やまのは:山の稜線、空と接する山の端
- 作者
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宮内卿
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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