秋風にしをるる野辺の花よりも
虫の音いたくかれにけるかな
- 歌の意味
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秋風にしおれる野辺の花よりも、虫の声の方がいっそうひどくかれてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 510
詞書「枯れゆく野辺のきりぎりすを」
秋の末の虫を詠む一連の一首目である。秋風にしおれる野辺の花よりも、虫の声の方がひどくかれてしまったと詠む。詞書によれば、「枯れゆく野辺のきりぎりす」を題として詠まれた。
作者は村上天皇の皇子で、中務卿を務め、後中書王と呼ばれた。学問と詩歌に優れた。
場面は草花の枯れてゆく晩秋、場所はきりぎりすの鳴く野辺である。
直接の契機は「枯れゆく野辺のきりぎりす」の題による詠である。
初句「秋風に」は、秋風に吹かれて、の意である。
二句「しをるる野辺の」の「しをるる」は、草木が生気を失ってぐったりする意の「しをる」の連体形である。
三句「花よりも」の「より」は比較を表し、花と虫の音とを比べる。
四句「虫の音いたく」の「いたく」は、ひどく、はなはだしく、の意である。前歌の第五百九首「いたくな置きそ」と同じ語で、花を案じる歌から虫の音を嘆く歌へと続く。
結句「かれにけるかな」の「かれ」は、花が「枯れ」る意と、虫の声が「嗄れ」る意とを掛ける掛詞である。「に」は完了、「ける」は詠嘆の「けり」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。野の草花が枯れるのは目に見えるが、それ以上に虫の声がかれたと、題の「枯れゆく野辺」と「きりぎりす」を一語で結んでいる。本巻の第四百七十二首では夜寒とともにきりぎりすの声が弱って遠ざかると詠まれたが、本歌では声がかれるといい、秋の深まりにつれて衰える虫の声を別の語で捉えている。
しをる:草木が生気を失ってぐったりする
かる:花が「枯る」意と、声が「嗄る」意を掛ける
- 作者
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具平親王
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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