あだに散る露の枕に臥しわびて
鶉鳴くなりとこの山風
- 歌の意味
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はかなく散る露の枕に臥しかねて、鶉が鳴いているようだ。寝床に吹き入る鳥籠の山の山風の中で。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 514
詞書「題しらず」
鶉を詠む一連の三首目で、一連の最後の歌である。はかなく散る露の枕に臥しかねて、床の山を吹く山風の中で鶉が鳴くと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は藤原俊成の孫にあたり、その養女となった。後鳥羽院に仕えた女房歌人である。
場面は山風の吹く秋の夜、場所は鳥籠の山のあたりの野である。鳥籠の山は近江国の歌枕である。
直接の契機は伝わらない。
初句「あだに散る」の「あだ」は、はかなく頼りにならない意で、風にはかなく散る露を示す。
二句「露の枕に」は、露の置く草を枕とする、の意で、鶉の寝所を示す。露に濡れた枕は涙の枕をも思わせる。
三句「臥しわびて」の「わび」は、…しかねる意で、臥していることもできずに、の意である。
四句「鶉鳴くなり」の「なり」は音声にもとづく推定の助動詞で、鶉の声を聞き取っていることを示す。ここで句が切れる。
結句「とこの山風」は体言止めで、「とこ」は寝「床」の意と、近江国の歌枕「鳥籠の山」とを掛ける掛詞である。寝床に吹き入る冷たい山風によって、露の枕に臥しかねる鶉の嘆きを深めている。第五百十二首、第五百十三首の鶉が人に捨てられた嘆きを負っていたのを受け、本歌では鶉を露の枕に臥しわびる独り寝の身として描き、鶉の一連を閉じる。
あだ:はかなく頼りにならないこと
ふしわぶ:臥していることができずに苦しむ
とこのやま:寝「床」の意と、近江国の歌枕「鳥籠の山」を掛ける
- 作者
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藤原俊成女
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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