いつの間に紅葉しぬらん山桜
昨日か花の散るを惜しみし
- 歌の意味
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山桜はいつの間に紅葉してしまったのだろう。花の散るのを惜しんだのは、つい昨日のことだったろうか。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 523
詞書「桜の紅葉しはじめたるを見て」
紅葉を詠む一連の一首目である。花の散るのを惜しんだのは昨日のことのようなのに、山桜はいつの間に紅葉したのかと驚く。詞書によれば、桜が紅葉しはじめたのを見て詠まれた。
作者は村上天皇の皇子で、中務卿を務め、後中書王と呼ばれた。学問と詩歌に優れた。
場面は紅葉のはじまる秋、場所は山桜の木のもとである。
直接の契機は、桜の葉が紅葉しはじめたのを見たことである。
初句「いつの間に」は、気づかぬうちに、の意で、時の過ぎる速さへの驚きを示す。
二句「紅葉しぬらん」の「ぬ」は完了、「らん」は現在推量の助動詞「らむ」の連体形で、紅葉してしまったのだろう、の意である。ここで句が切れる。
三句「山桜」は、倒置によって紅葉した木を示す。春に花を賞した木が、秋には紅葉として目にとまる。
四句「昨日か花の」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「し」と係り結びをなす。
結句「散るを惜しみし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、花の散るのを惜しんだのは昨日のことだったろうか、の意となる。春から秋までの半年を「昨日」と感じる時の速さを、同じ山桜の花と紅葉の対比によって示す。紅葉の一連の冒頭に、春の花を振り返る歌を置いている。本巻の第四百六十首が同じ田の早苗と刈り干す稲の変化を詠んだのと同じく、一つのものの季節による変わりように時の移りを見ている。
もみづ:草木の葉が赤や黄に色づく
をしむ:失われるのを残念に思う
- 作者
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具平親王
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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