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紅葉葉の色にまかせて常磐木も
風にうつろふ秋の山かな

歌の意味
紅葉の色にすっかり任せて、常磐木までもが風に吹かれて色を移ろわせるように見える、秋の山であることよ。
鑑賞
巻第五 秋歌下 536

詞書「守覚法親王五十首歌によみ侍りける」
 紅葉を詠む一連の十四首目である。紅葉の色に任せて、常磐木までもが風に色を移ろわせるように見える秋の山を詠む。詞書によれば、守覚法親王の五十首歌の中の一首である。
 作者は左大臣徳大寺実定の子で、のちに左大臣に至った。春宮大夫は、皇太子に仕える春宮坊の長官である。
 場面は紅葉の散る秋、場所は常磐木と紅葉の木の入り交じる山である。
 直接の契機は、後白河天皇の皇子で仁和寺の門跡であった守覚法親王が歌人たちに詠ませた五十首歌への詠進である。

 初句「紅葉葉の」は、紅葉した葉の、の意で、山を染める色を示す。
 二句「色にまかせて」は、紅葉の色の勢いに任せて、の意で、常磐木までもがその色に従うさまを言う。
 三句「常磐木も」の「常磐木」は、松や杉など一年中葉の色を変えない木で、「も」は、紅葉する木だけでなく常磐木までも、の意を含む。
 四句「風にうつろふ」は、風に吹かれて色が移り変わるように見える、の意で、散りかかる紅葉が常磐木を覆って染めるさまを言う。
 結句「秋の山かな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。本来色を変えない常磐木までもが、風に散りかかる紅葉によって色づいて見えるという見立てで、山全体が紅葉に染まるさまを詠む。本巻の第五百二十七首は、松が時雨に濡れても色を変えないことから紅葉は木々の心によるものかと問うたが、本歌では常磐木までもが紅葉の色に移ろうとし、色を変えない木についての二首の構図が反転している。

ときはぎ:松や杉など一年中葉の色を変えない木
うつろふ:色が移り変わる
まかす:物事をほかのものにゆだねる
作者
藤原公継
出典
新古今和歌集
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