おき明かす秋の別れの袖の露
霜こそ結べ冬や来ぬらん
- 歌の意味
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去ってゆく秋との別れを惜しんで夜を起き明かした、その袖に置いた涙の露が、今は霜となって結んでいる。冬が来たのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 551
詞書「千五百番歌合に初冬の心をよめる」
初冬を詠む一連の一首目で、冬歌の巻頭歌である。秋との別れを惜しんで夜を起き明かした袖の露が、霜となって結んでいるのを見て、冬の到来を知る。詞書によれば、千五百番歌合で初冬の心を詠んだ歌である。
作者は権中納言藤原俊忠の子で、正三位皇太后宮大夫に至り、出家して釈阿と号した。『千載和歌集』を撰進し、藤原定家の父である。
場面は秋が去り冬に入る夜明け、場所は特定されず、夜通し起きていた人の袖の上が描かれる。
直接の契機は、後鳥羽院が建仁元年(1201)に歌人たちに百首歌を召し、それを番えた千五百番歌合での「初冬」の詠である。
初句「おき明かす」は、夜通し起きたまま夜を明かす意である。「おき」には「起き」と、露が「置き」の意が掛けられており、三句の「露」の縁語として働く。
二句「秋の別れの」は、去ってゆく秋との別れをいう。巻第五の巻末に置かれた第五百五十首は「秋の限り」を惜しむ歌であり、秋を惜しむ心を受け継いで冬の巻が始まる配列である。
三句「袖の露」は、秋を惜しんで流した涙を露に見立てたものである。秋の歌で繰り返し詠まれてきた袖の露を、次の句で霜へと移してゆく。
四句「霜こそ結べ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「結べ」で結ぶ係り結びである。露であったものが霜となって結んでいることを強く示し、秋から冬への変化を袖の上の一点で捉えている。
結句「冬や来ぬらん」は、疑問の係助詞「や」を受けて推量の助動詞「らん」の連体形で結び、冬が来たのだろうかと推し量る。露が霜に変わるという身近な証しから季節の移りを知る趣向で、冬の巻の始まりを告げる。巻末の第七百六首は過ぎゆく年を惜しむ歌であり、秋を惜しむこの歌と、惜しむ心によって巻の始めと終わりが呼応している。
おきあかす:夜通し起きて夜を明かす意で、「おき」に露が置く意を掛ける
むすぶ:露や霜が凝って形をなす
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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