名取川簗瀬の浪ぞ騒ぐなる
紅葉やいとど寄りて堰くらん
- 歌の意味
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名取川の簗瀬の波が騒いでいる音がする。紅葉がいっそう寄り集まって、流れをせき止めているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 553
詞書「題しらず」
落葉を詠む一連の一首目である。名取川の簗瀬の波が騒ぐ音を聞き、紅葉がいっそう寄り集まって流れをせき止めているのだろうかと推し量る。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は清和源氏の出で、三十六歌仙の一人である。晩年は陸奥守藤原実方に従って陸奥に下り、その地で没した。
場面は紅葉の散る初冬、場所は陸奥国の名取川の簗瀬である。
直接の契機は伝わらない。
初句「名取川」は陸奥国の歌枕で、今の宮城県を流れて太平洋に注ぐ川である。「名取」の名から浮き名を取るという恋の歌に多く詠まれてきたが、ここでは紅葉の流れる川として詠まれている。
二句「簗瀬の浪ぞ」の「簗瀬」は、魚を捕るための簗を仕掛けた瀬である。係助詞「ぞ」が、その波を強く取り立てる。
三句「騒ぐなる」は係助詞「ぞ」の結びで、「なる」は音によって推し量る伝聞推定の助動詞「なり」の連体形である。波の騒ぐ音を耳で捉えるところから歌が始まり、ここで切れる三句切れである。
四句「紅葉やいとど」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と呼応する。「いとど」は、いっそう、ますます、の意である。
結句「寄りて堰くらん」は、紅葉が寄り集まって流れをせき止めているのだろうか、の意で、推量の助動詞「らん」の連体形で結ぶ。音から目に見えない原因を推し量る構成であり、流れをせき止める紅葉の趣向は、次歌の筏師への問いかけや、第五百五十五首の井堰としがらみへと、川に流れる紅葉を詠む歌として引き継がれてゆく。
やなせ:魚を捕る簗を仕掛けた川の瀬
やな:川の瀬に竹や木を並べて魚を捕る仕掛け
せく:水の流れをせき止める
- 作者
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源重之
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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