高瀬舟しぶくばかりに紅葉葉の
流れて下る大井川かな
- 歌の意味
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高瀬舟が進みかねるほどに、紅葉した葉が流れて下ってゆく大井川であることよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 556
詞書「大井川にまかりて、落葉満水といへる心をよみ侍りける」
落葉を詠む一連の四首目である。高瀬舟が進みかねるほど、紅葉が流れて下ってゆく大井川を詠む。詞書によれば、大井川に出かけた折に「落葉満水」の題で詠んだ歌である。
作者は参議藤原広業の子で、文章博士、式部権大輔を務め、正四位下に至った。漢詩にも優れ、後冷泉天皇の大嘗会和歌を詠進した。
場面は紅葉が川面を満たす初冬、場所は山城国の大井川である。
直接の契機は、大井川に出かけた折の「落葉満水」(落葉水に満つ)の題による詠である。
初句「高瀬舟」は、浅い川でも通えるよう底を平らにした小舟である。
二句「しぶくばかりに」の「しぶく」は、滞って進みかねる意である。舟が進みにくくなるほどに、と紅葉の量の多さを示す。
三句「紅葉葉の」は紅葉した葉をいい、四句へと続く。
四句「流れて下る」は、紅葉が川を流れ下ってゆくさまである。前歌の紅葉が流れずにとどまったのに対し、この歌の紅葉は川を満たしながら流れ下っており、とどまる紅葉と流れる紅葉とが対になっている。
結句「大井川かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。前歌の三句に据えられた「大井川」がこの歌では結句に置かれ、大井川で詠まれた三首がここで閉じられる。題の「落葉満水」を、舟の進みを妨げるほどの量として具体的に描いている。
たかせぶね:浅い川を通うための底の平らな小舟
しぶく:滞って進みかねる
もみぢば:紅葉した葉
- 作者
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藤原家経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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