時雨れつつ袖も干しあへずあしひきの
山の木の葉に嵐吹く頃
- 歌の意味
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時雨がしきりに降って、袖も乾かしきれない。山の木の葉に嵐の吹くこの頃は。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 563
詞書は前の歌に続き「春日社歌合に落葉といふことをよみて奉りし」
落葉を詠む一連の十一首目である。時雨が降り続いて袖も乾かしきれない、山の木の葉に嵐の吹くこの頃は、と詠む。詞書は前歌から続き、同じ春日社歌合で「落葉」の題で詠まれた歌である。
作者は「信濃」と呼ばれた女房で、誰を指すかについて定説を見ない。「信濃」は国名を用いた女房名である。
場面は時雨と嵐の続く初冬、場所は木の葉の散る山である。
直接の契機は、前歌と同じく、元久元年(1204)の春日社歌合での「落葉」の題による詠である。
初句「時雨れつつ」は、時雨が繰り返し降る意で、「つつ」は反復、継続を表す。
二句「袖も干しあへず」は、袖も乾かしきれない、の意で、八音の字余りである。時雨に濡れる袖であり、冬の寂しさに流す涙に濡れる袖でもある。
三句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
四句「山の木の葉に」は、山の木々に残る葉をいう。前歌が信夫山の紅葉を詠んだのを受け、山の木の葉へと続いている。
結句「嵐吹く頃」は体言止めで、時を示す語で結ぶ。時雨が袖を濡らし、嵐が木の葉を散らすという二つの景を、「頃」の一語で同じ季節のうちにまとめている。前歌が時雨と嵐の働きを対立させたのに対し、この歌では両者が同じ頃に重なって訪れるものとして詠まれている。
しぐる:時雨が降る
ほしあふ:すっかり乾かしきる
- 作者
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信濃
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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