- 歌の意味
-
山里の風が冷たく荒々しく吹く夕暮れに、木の葉が乱れ散って、何とはなしに物悲しい。
- 鑑賞
-
巻第六 冬歌 564
詞書は前の歌に続き「春日社歌合に落葉といふことをよみて奉りし」
落葉を詠む一連の十二首目である。山里の風が冷たく荒々しく吹く夕暮れに、木の葉が乱れ散って物悲しいと詠む。詞書は前歌から続き、同じ春日社歌合で「落葉」の題で詠まれた歌である。
作者は藤原秀宗の子で、後鳥羽院に北面の武士として仕え、承久の乱ののちに出家して如願と号した。
場面は冬の夕暮れ、場所は山里である。
直接の契機は、前歌と同じく、元久元年(1204)の春日社歌合での「落葉」の題による詠である。
初句「山里の」は、都を離れた山あいの里をいう。
二句「風すさまじき」は、風が冷たく荒涼としているさまをいう。「すさまじき」は連体形で、三句の「夕暮」にかかる。
三句「夕暮に」で時が定まる。本巻の第五百五十八首の「谷の夕風」と同じく、夕べの風の中に落葉が置かれている。
四句「木の葉乱れて」は、木の葉が風に乱れ散るさまである。前歌の「山の木の葉に嵐吹く」を受け、嵐に吹かれた木の葉の行方が描かれる。
結句「物ぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「悲しき」で結ぶ係り結びである。本巻の第五百五十二首と同じ結句であり、風に散る木の葉がどちらの歌でも悲しみを呼び起こしている。第五百五十二首が「そこはかとなく」と理由を特定しない悲しみを詠んだのに対し、この歌は山里、風、夕暮と悲しみを誘う景を重ねて結句に至っている。
やまざと:山あいにある人里
- 作者
-
藤原秀能
- 出典
-
新古今和歌集
- その他の歌
-