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神無月木々の木の葉は散り果てて
庭にぞ風の音は聞こゆる

歌の意味
神無月になり、木々の葉はすっかり散ってしまって、今は庭にこそ風の音が聞こえてくる。
鑑賞
巻第六 冬歌 571

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 時雨を詠む一連の二首目である。ただしこの歌に時雨の語はなく、神無月に木々の葉が散り果てて、庭で風の音が聞こえると詠む。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者は関白藤原忠通の子で、園城寺の長吏を務め、大僧正に至った。
 場面は神無月、場所は木々の葉の散り果てた庭である。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「神無月」は陰暦十月の異称である。本巻の第五百五十二首、第五百六十八首に続き、神無月の語が冬の初めの景を導いている。
 二句「木々の木の葉は」は、木々の葉は、の意で、「木」の音が重ねられている。
 三句「散り果てて」は、すっかり散ってしまって、の意である。本巻の落葉の一連で散り続けてきた木の葉が、ここで散り果てたものとして示される。
 四句「庭にぞ風の」は、係助詞「ぞ」で「庭に」を強く取り立てる。葉のある間は梢で鳴っていた風の音が、今は庭で聞こえるという対比が「ぞ」に込められている。
 結句「音は聞こゆる」は、係助詞「ぞ」を受けて動詞「聞こゆ」の連体形「聞こゆる」で結ぶ係り結びである。梢に葉がなくなり、庭に風の音だけが届くという音の変化によって、冬の深まりを示している。本巻の第五百五十八首も、庭の面に木の葉を吹き巻く風の音を詠んでいる。

ちりはつ:すっかり散ってしまう
作者
覚忠
出典
新古今和歌集
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