時雨の雨染めかねてけり山城の
ときはの杜の槙の下葉は
- 歌の意味
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時雨の雨も染めることができなかったのだなあ、山城の常磐の杜の槙の下葉は。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 577
詞書「十月ばかり常磐の杜を過ぐとて」
時雨を詠む一連の八首目である。時雨の雨も、山城の常磐の杜の槙の下葉は染めることができなかったと詠む。詞書によれば、十月ごろに常磐の杜を通り過ぎる時に詠んだ歌である。
作者は俗名を橘永愷といい、若くして出家し、諸国の歌枕を訪ねて旅をした。歌学書『能因歌枕』を著した。
場面は陰暦十月ごろ、場所は山城国の常磐の杜である。
直接の契機は、十月ごろに常磐の杜を通り過ぎたことである。
初句「時雨の雨」は、時雨である雨をいい、六音の字余りである。
二句「染めかねてけり」は、染めることができなかったのだった、の意である。「かね」は、しようとしてできない意を添え、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここで切れる二句切れである。
三句「山城の」は、常磐の杜のある国を示す。
四句「ときはの杜の」は山城国の歌枕で、今の京都市右京区の常盤のあたりにあった森である。地名の「常磐」に、常緑で色の変わらない「常磐」の意が掛けられており、時雨にも色を変えないことの理由がこの名に込められている。
結句「槙の下葉は」は、槙の木の下のほうの葉は、の意で、二句から倒置の形で主語を最後に示す。前歌の呉竹に続き、時雨に染まらない常緑の木を詠んでいる。前歌がどうして色が変わらないのかと問うたのに対し、この歌は「ときは」の名によって答えを示す形となっている。
そめかぬ:染めようとしても染めることができない
ときは:地名の常磐に、常緑で色の変わらない意を掛ける
まき:杉や檜など、良材となる常緑の針葉樹
したば:木の下のほうの葉
- 作者
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能因
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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