冬を浅みまたく時雨と思ひしを
絶えざりけりな老の涙も
- 歌の意味
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冬がまだ浅いので、すっかり時雨だと思っていたのに、絶えることがなかったのだなあ、老いの涙もまた。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 578
詞書「題しらず」
時雨を詠む一連の九首目である。冬がまだ浅いのですっかり時雨だと思っていたが、老いの涙もまた絶えずに流れていたのだと気づく。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は清原深養父の孫で、梨壺の五人の一人として『後撰和歌集』の撰進にあたった。清少納言の父で、三十六歌仙の一人である。
場面は冬の初め、場所は明示されていない。
直接の契機は伝わらない。
初句「冬を浅み」は、冬がまだ浅いので、の意で、「を〜み」は原因、理由を表す語法である。
二句「またく時雨と」の「またく」は、まったく、すっかり、の意である。冬の初めであるから、降るものはすっかり時雨だと思っていた、という。
三句「思ひしを」の「を」は逆接の接続助詞で、思っていたのに、の意となる。「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
四句「絶えざりけりな」は、絶えることがなかったのだなあ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆、「な」は詠嘆の終助詞である。ここで切れる四句切れで、結句とは倒置の関係になる。
結句「老の涙も」は、老いの涙もまた、の意である。「も」によって、時雨とともに老いの涙もまた絶えないことが示される。時雨と涙を重ねる趣向は、本巻の第五百六十首や第五百六十七首にも見えるが、この歌はそこに老いの嘆きを加えている。次歌の第五百七十九首も、時雨に濡れる衣を詠んでいる。
おい:年老いること
- 作者
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清原元輔
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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