まばらなる柴の庵に旅寝して
時雨に濡るるさ夜衣かな
- 歌の意味
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すき間の多い柴の庵に旅寝をして、時雨に濡れる夜の衣であることよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 579
詞書「鳥羽殿にて旅宿時雨といふことを」
時雨を詠む一連の十首目である。すき間の多い柴の庵に旅寝をして、夜の衣が時雨に濡れると詠む。詞書によれば、鳥羽殿で「旅宿時雨」の題で詠まれた歌である。
作者は鳥羽天皇の皇子で、譲位ののち院政をしき、今様を好んで『梁塵秘抄』を編んだ。
場面は時雨の降る夜、場所は題の設定としては旅先の柴の庵であり、実際に詠まれた場所は鳥羽殿である。
直接の契機は、鳥羽殿での「旅宿時雨」(旅宿の時雨)の題による詠である。鳥羽殿は、白河院が京の南の鳥羽に造営した離宮である。
初句「まばらなる」は、すき間の多い、の意である。本巻の第五百六十八首では柏木の葉が「まばらになりぬ」と詠まれたが、ここでは庵のすき間をいい、時雨が漏れ入ることを予告する。
二句「柴の庵に」は、柴で囲った粗末な仮の住まいをいう。本巻の第五百七十二首、第五百七十三首の「柴の戸」に続き、柴の住まいが時雨の場として詠まれている。
三句「旅寝して」は、旅先で寝て、の意で、題の「旅宿」を示す。
四句「時雨に濡るる」は、時雨に濡れる、の意で、題の「時雨」を示す。まばらな庵に漏れ入る時雨によって、旅の侘しさが示される。
結句「さ夜衣かな」は、夜の衣であることよ、の意で、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。「さ夜」の「さ」は語調を整える接頭語である。離宮で、旅寝の侘しさを題として詠んだ歌であり、前歌の老いの涙に続いて、時雨に濡れるものが衣として示される。
いほり:草木で作った粗末な仮の住まい
たびね:旅先で寝ること
さよごろも:夜に着る衣、夜具
- 作者
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後白河院
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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