- 歌の意味
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その深緑の色も時雨に抗いきれなくなって、どうなってしまうのだろう。絶え間なく時雨の降る、布留の神杉は。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 581
詞書「冬の歌の中に」
時雨を詠む一連の十二首目である。絶え間なく時雨の降る布留の神杉は、その深緑の色も時雨に抗しきれず、どうなってしまうのだろうかと思いやる。詞書によれば、冬の歌として詠まれた歌の中の一首である。
作者は高倉天皇の皇子で、譲位ののち院政をしき、和歌所を設けて『新古今和歌集』の撰進を命じた。
場面は時雨の降り続く初冬、場所は大和国の石上の布留にある神杉のもとである。
直接の契機は、詞書に「冬の歌の中に」とあるのみで伝わらない。
本歌は次歌の第五百八十二首で、『万葉集』巻第十に作者を記さずに収められた「時雨の雨間なくし降れば真木の葉も争ひかねて色づきにけり」である。本歌の「間なく」「争ひかねて」の語を取り、真木の葉が色づいたという本歌に対して、常緑の神杉はどうなるのかと問いを差し向けている。
初句「深緑」は、杉の濃い緑の色をいう。常緑の杉の色を最初に置き、変わらないはずの色を示す。
二句「争ひかねて」は、抗いきれないで、の意で、本歌の四句「争ひかねて」をそのまま取った語である。「かね」は、しようとしてできない意を添える。
三句「いかならん」は、どうなるのだろうか、の意で、「ん」は推量の助動詞である。ここで切れる三句切れで、下の句とは倒置の関係になる。
四句「間なく時雨の」は、絶え間なく時雨が、の意で、本歌の二句「間なくし降れば」を受けている。
結句「ふるの神杉」の「ふる」には、時雨が「降る」意と、大和国の歌枕である石上の「布留」の意が掛けられている。布留は今の奈良県天理市の石上神宮のあたりで、神の宿る杉が詠まれてきた。体言止めで結ぶ。本巻の第五百七十六首の呉竹や第五百七十七首の槙の下葉が時雨に染まらないものとして詠まれたのを受け、この歌は常緑の神杉さえ時雨に争いきれないのではないかと問うている。次歌では本歌の真木の葉が争いきれずに色づいており、本歌取りの歌とその本歌とが並べて置かれている。
あらそひかぬ:抗いきれない
ふる:時雨が降る意と、地名の布留を掛ける
かみすぎ:神社などにある、神の宿る杉
- 作者
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後鳥羽院
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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