み吉野の山かき曇り雪降れば
麓の里はうち時雨れつつ
- 歌の意味
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吉野の山が一面に曇って雪が降ると、麓の里では時雨がしきりに降り続いている。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 588
詞書「題しらず」
時雨を詠む一連の十九首目である。吉野の山が曇って雪が降る時、麓の里では時雨が降り続いていると、山と里の違いを詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は源俊頼の子で、東大寺の僧となり、白河の自坊を歌林苑と名付けて歌人たちの集う場とした。鴨長明の歌の師である。
場面は雪と時雨の初冬、場所は大和国の吉野山とその麓の里である。
直接の契機は伝わらない。
初句「み吉野の」は大和国の歌枕で、「み」は美称の接頭語である。吉野は雪の名所として詠まれてきた。
二句「山かき曇り」は、山が一面に曇って、の意で、「かき」は語調を強める接頭語である。
三句「雪降れば」の「ば」は已然形に付く確定条件で、雪が降ると、の意である。
四句「麓の里は」の「は」は、山と対比して里を取り立てる。山の雪に対して、麓の里の天気が示される。
結句「うち時雨れつつ」は、しきりに時雨が降り続く意で、本巻の第五百八十四首と同じ結句である。山では雪、里では時雨という、同じ空の下で高さによって異なる景を上下の対比で描き、時雨から雪へと移る季節の推移を示している。本巻の第五百八十五首が山にかかる雲から里の時雨を推し量ったのに対し、この歌は山の雪と里の時雨とを並べて描いている。
かきくもる:空一面に曇る
- 作者
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俊恵
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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