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定めなく時雨るる空のむら雲に
幾たび同じ月を待つらん

歌の意味
降ったりやんだりと定めなく時雨れる空のむら雲に、いったい幾たび同じ月が現れるのを待つのだろうか。
鑑賞
巻第六 冬歌 596

詞書「題しらず」
 冬の月を詠む一連の六首目である。定めなく時雨れる空のむら雲の間から、同じ月が現れるのを幾たびも待つと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の生没年や出自、官職について確かなことは伝わらない。
 場面は時雨の降る冬の夜、場所は月を待つ所である。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「定めなく」は、決まりなく、の意で、降ったりやんだりする時雨のさまを示す。本巻の第五百八十六首が「時雨は定めなきものを」と詠んだのと同じく、時雨の定めなさが言い出しに置かれている。
 二句「時雨るる空の」は、時雨の降る空の、の意である。
 三句「むら雲に」は、群がって浮かぶ雲に、の意である。時雨を降らせては過ぎてゆく雲が、月を隠しては現す。
 四句「幾たび同じ」は、いったい幾たび同じ、の意で、前歌の二句「幾たび袖に」と同じ「幾たび」の語を受けている。
 結句「月を待つらん」は、月を待つのだろうか、の意で、「らん」は現在推量の助動詞である。雲に隠れては現れる同じ一つの月を、そのたびに新たに待つという繰り返しを詠む。前歌が袖の涙に幾たび曇る月を詠んだのに対し、この歌は空の雲に幾たび隠れる月を詠み、袖と空とで「幾たび」曇る月が対になっている。次歌の第五百九十七首も「むら雲の月」を詠んでいる。

むらくも:群がり集まって浮かぶ雲
作者
源泰光
出典
新古今和歌集
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