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絶え絶えに里わく月の光かな
時雨を送る夜半のむら雲

歌の意味
途切れ途切れに、里によって照らし分ける月の光であることよ。時雨を送ってゆく夜半のむら雲が過ぎてゆく。
鑑賞
巻第六 冬歌 599

詞書「五十首歌奉りし時」
 冬の月を詠む一連の九首目である。時雨を送ってゆく夜半のむら雲の切れ間から、月の光が途切れ途切れに里を照らし分けると詠む。詞書によれば、五十首歌を奉った時の歌である。
 作者は俗名を藤原定長といい、藤原俊成の甥で、その養子となったが、のちに出家した。『新古今和歌集』の撰者に選ばれたが、撰進の完了を待たずに没した。
 場面は時雨の過ぎてゆく冬の夜半、場所は里々を見渡す所である。
 直接の契機は五十首歌の詠進である。詞書には、どの催しでの五十首であるかは記されていない。

 初句「絶え絶えに」は、途切れ途切れに、の意である。
 二句「里わく月の」の「わく」は分ける意で、里ごとに照らしたり照らさなかったりと、月の光が里を分けるさまをいう。
 三句「光かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で切れる三句切れで、下の句とは倒置の関係になる。
 四句「時雨を送る」は、時雨を運んで先へ送ってゆく、の意で、むら雲が時雨を降らせながら移ってゆくさまをいう。
 結句「夜半のむら雲」は体言止めで、月の光を途切れさせるものを最後に示す。雲のかかった里では時雨が降り、雲の去った里では月が照るという、空から見下ろすような大きな景を詠んでいる。本巻の第五百九十六首、第五百九十七首に続いて「むら雲」の語を置き、雲に隠される月の一群をなしている。前歌が山と都とで時雨と月を分けたのに対し、この歌は里ごとに時雨と月を分けている。

わく:分ける、区別する
よは:夜中
むらくも:群がり集まって浮かぶ雲
作者
寂蓮
出典
新古今和歌集
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