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紅葉葉はおのが染めたる色ぞかし
よそげに置ける今朝の霜かな

歌の意味
紅葉は、お前自身が染めた色なのだよ。それなのに、自分とは関わりのないもののように置いている今朝の霜であることよ。
鑑賞
巻第六 冬歌 602

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 冬の月を詠む一連の十二首目である。ただしこの歌に月の語はなく、紅葉を染めたのは霜自身であるのに、よそごとのように置いている今朝の霜を詠む。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者は関白藤原忠通の子で、天台座主を四度務め、歴史書『愚管抄』を著した。
 場面は霜の置いた冬の朝、場所は紅葉の上に霜の置く所である。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「紅葉葉は」は、紅葉した葉は、の意である。
 二句「おのが染めたる」は、お前自身が染めた、の意で、霜に向かって語りかける形である。霜は露や時雨とともに、木の葉を紅葉に染めるものとされてきた。
 三句「色ぞかし」は、色なのだよ、の意で、「ぞかし」は念を押して強く言い聞かせる語である。ここで切れる三句切れである。
 四句「よそげに置ける」は、自分とは関わりのないもののように置いている、の意で、「よそげ」は、よそよそしいさまをいう。
 結句「今朝の霜かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。紅葉を染めておきながら、その紅葉の上に知らぬ顔で白く置く霜を、擬人化してとがめる歌である。本巻の第五百八十首が時雨に向かって何を染めるのかと語りかけたのと同じく、染める自然に向かって語りかけており、時雨から霜へと、染める主が移っている。前歌の袖を凍らせる霜夜を受け、翌朝の霜の景へと続いている。

もみぢば:紅葉した葉
作者
慈円
出典
新古今和歌集
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