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冴えわびて覚むる枕に影見れば
霜深き夜の有明の月

歌の意味
寒さに耐えかねて目の覚めた枕もとに差す光を見ると、それは霜の深く置いた夜の有明の月であった。
鑑賞
巻第六 冬歌 608

詞書「千五百番歌合に」
 冬の月を詠む一連の十八首目である。寒さに目覚めた枕に差す光を見ると、霜の深い夜の有明の月であったと詠む。詞書によれば、千五百番歌合で詠まれた歌である。
 作者は藤原俊成の孫にあたり、俊成の養女となった。源通具の妻となり、後鳥羽院の歌壇で活躍した。
 場面は霜の深い冬の夜明け前、場所は寝所の枕もとである。
 直接の契機は、後鳥羽院が催した千五百番歌合での詠である。

 初句「冴えわびて」は、寒さが厳しくて耐えかねて、の意である。「冴ゆ」は冷え込む意、「わぶ」は、しかねる、つらく思う意を添える。
 二句「覚むる枕に」は、目の覚めた枕もとに、の意である。寒さによって眠りが破られたことを示す。
 三句「影見れば」の「影」は月の光をいう。「ば」は已然形に付く確定条件で、見ると、の意となる。
 四句「霜深き夜の」は、霜の深く置いた夜の、の意である。枕に差す月の光を見て、外の霜の深さを知る。
 結句「有明の月」は体言止めで、本巻の第五百九十四首、第五百九十五首と同じ結句である。寒さに目覚めるという身の感覚から始まり、枕の月の光、外の霜、空の有明の月へと視線を広げてゆく構成であり、前歌の霜の上の月の寒さを、寝覚めの枕の上に移している。

さえわぶ:寒さが厳しくて耐えかねる
さむ:眠りから覚める
作者
俊成卿女
出典
新古今和歌集
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