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小夜更けて声さへ寒き葦鶴は
幾重の霜か置きまさるらん

歌の意味
夜が更けて、鳴く声までも寒々しい葦辺の鶴は、幾重の霜がその身に置き重なっているのだろうか。
鑑賞
巻第六 冬歌 613

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 霜と冬枯れを詠む一連の三首目である。夜更けに寒々しく鳴く葦辺の鶴の身には、幾重の霜が置き重なっているのだろうかと思いやる。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者は太政大臣藤原為光の子で、藤原兼家の養子となった。和歌に優れたが、若くして没した。
 場面は霜の置く冬の夜更け、場所は葦の生える水辺である。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「小夜更けて」は、夜が更けて、の意で、「さ」は語調を整える接頭語である。
 二句「声さへ寒き」は、声までも寒々しい、の意で、「さへ」は添加を表す副助詞である。霜夜の寒さに加えて、声までも寒く聞こえるという。
 三句「葦鶴は」は、葦の生える水辺にいる鶴をいう。
 四句「幾重の霜か」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と呼応する。
 結句「置きまさるらん」は、ますます置き重なっているのだろうか、の意で、推量の助動詞「らん」の連体形で結ぶ。鳴く声の寒さから、見えない鶴の羽に積もる霜の重なりを推し量る構成である。前歌が枯れた荻を離れて空にいる鳥を思いやったのに対し、この歌は霜夜の水辺にとどまる鶴を思いやっており、鳥の行方と鳥の身の上とが並べられている。

さよ:夜
あしたづ:葦の生える水辺にいる鶴
おきまさる:ますます多く置く
作者
藤原道信
出典
新古今和歌集
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