笹の葉はみ山もさやにうちそよぎ
氷れる霜を吹く嵐かな
- 歌の意味
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笹の葉は深い山全体がさやさやと鳴るほどにそよぎ、その葉に凍りついた霜を吹きつける嵐であることよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 615
詞書「百首歌奉りし時」
霜と冬枯れを詠む一連の五首目である。深山全体が鳴るほどに笹の葉がそよぎ、その葉に凍りついた霜を嵐が吹くと詠む。詞書によれば、百首歌を奉った時の歌である。
作者は関白九条兼実の子で、摂政太政大臣に至り、『新古今和歌集』の仮名序を執筆した。
場面は霜の凍る冬、場所は笹の茂る深山である。
直接の契機は百首歌の詠進である。詞書には、どの催しでの百首であるかは記されていない。
本歌は『万葉集』巻第二の柿本人麻呂の歌「笹の葉はみ山もさやにさやげども我は妹思ふ別れ来ぬれば」である。次歌の第六百十六首も、同じ歌を本歌としている。
初句「笹の葉は」は、本歌の初句をそのまま取った語である。
二句「み山もさやに」は、深い山全体がさやさやと鳴るほどに、の意で、本歌の二句をそのまま取っている。「み」は美称の接頭語である。
三句「うちそよぎ」は、そよそよと音を立てて揺れ、の意で、「うち」は語調を整える接頭語である。本歌の「さやげども」に代えて、そよぐ動きが置かれている。
四句「氷れる霜を」は、笹の葉の上に凍りついた霜を、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
結句「吹く嵐かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。本歌の上の句をほぼそのまま用いながら、別れて来た妻を思う本歌の恋の心は取らず、笹に凍る霜を吹く嵐という冬の景へと転じている。前歌の四方の嵐を受けて嵐の歌が続き、次歌の第六百十六首は同じ本歌の恋の心を生かして霜夜の独り寝を詠んでおり、同じ本歌から景の歌と恋の歌の二首が並べられている。
みやま:深い山
そよぐ:風に揺れて音を立てる
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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