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鵲の渡せる橋に置く霜の
白きを見れば夜ぞ更けにける

歌の意味
鵲が翼を連ねて渡した橋に置く霜の白さを見ると、夜はすっかり更けてしまったことだ。
鑑賞
巻第六 冬歌 620

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 霜と冬枯れを詠む一連の十首目である。鵲の渡した橋に置く霜の白さを見て、夜が更けたことを知る。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者は大伴旅人の子で、中納言に至った。『万葉集』の編纂に深く関わったとされる歌人で、三十六歌仙の一人である。
 場面は冬の夜更け、場所は霜の置く「鵲の渡せる橋」を望む所である。
 直接の契機は伝わらない。
 この歌は『万葉集』には見えず、家持の家集に収められて伝えられた歌で、『小倉百人一首』にも採られている。

 初句「鵲の」は、カラス科の鳥である鵲をいう。七夕の夜に鵲が翼を連ねて天の川に橋を渡し、織女を渡すという中国の伝説に基づく。
 二句「渡せる橋に」は、鵲が渡した橋に、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。天上の鵲の橋を冬の夜空に思い描いたとも、宮中の御階をこの橋になぞらえたとも解されている。
 三句「置く霜の」は、橋に置く霜の、の意で、四句の「白き」にかかる。
 四句「白きを見れば」は、その白さを見ると、の意である。
 結句「夜ぞ更けにける」は、係助詞「ぞ」を受けて過去の助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。霜の白さによって夜の更けたことを知る構成で、本巻の第六百十一首が宇治の橋の霜を詠んだのと、橋に置く霜という景を共有しており、地上の宇治橋と天上の鵲の橋とが、霜の一連の中で呼応している。

かささぎ:カラス科の鳥の一種
作者
大伴家持
出典
新古今和歌集
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