立ち濡るる山の雫も音絶えて
真木の下葉に垂氷しにけり
- 歌の意味
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立ったまま人を濡らす山の雫も音が絶えて、真木の下葉につららとなって下がったことだ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 630
詞書「百首歌奉りし時」
氷を詠む一連の二首目である。立つ人を濡らす山の雫も音を絶え、真木の下葉につららとなって下がったと詠む。詞書によれば、百首歌を奉った時の歌である。
作者は原文に記されず、前歌から続いて守覚法親王である。後白河天皇の皇子で、仁和寺に入って門跡となり、御室と呼ばれた。
場面は厳寒の冬、場所は真木の茂る山である。
直接の契機は百首歌の詠進である。詞書には、どの催しでの百首であるかは記されていない。
本歌は『万葉集』巻第二の大津皇子の歌「あしひきの山のしづくに妹待つと我立ち濡れぬ山のしづくに」である。
初句「立ち濡るる」は、立ったまま濡れる、の意で、本歌の「我立ち濡れぬ」を受けた語である。
二句「山の雫も」は、山の木々から落ちる雫も、の意で、本歌の「山のしづく」をそのまま取っている。
三句「音絶えて」は、雫の落ちる音が絶えて、の意である。雫が凍りついて落ちなくなったことを、音の途絶えによって示す。
四句「真木の下葉に」は、杉や檜などの下のほうの葉に、の意である。
結句「垂氷しにけり」は、つららが下がったことだ、の意で、「に」は完了、「けり」は気づきの詠嘆を表す。恋人を待って立ち濡れた本歌の山の雫を、冬には凍ってつららとなるものとして詠み替えている。前歌の袖の上に凍る涙から、山の木々に凍る雫へと、氷の景が広がっている。
しづく:したたり落ちる水の粒
まき:杉や檜など、良材となる木
たるひ:つらら
- 作者
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守覚法親王
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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