消えかへり岩間に迷ふ水の泡の
しばし宿借る薄氷かな
- 歌の意味
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消えては浮かび、岩の間を漂う水の泡が、しばらくのあいだ宿を借りる薄氷であることよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 632
詞書は前の歌に続き「題しらず」
氷を詠む一連の四首目である。消えては浮かんで岩間を漂う水の泡が、しばらく宿を借りる薄氷を詠む。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は関白九条兼実の子で、摂政太政大臣に至り、『新古今和歌集』の仮名序を執筆した。
場面は冬、場所は岩の間を流れる水辺である。
直接の契機は伝わらない。
初句「消えかへり」は、消えては生じることを繰り返して、の意で、水の泡のはかなさを示す。
二句「岩間に迷ふ」は、岩の間をさまよい漂う、の意で、前歌の四句「岩間にむせぶ」と同じ「岩間」の語を受けている。
三句「水の泡の」は、水面に浮かぶ泡の、の意で、六音の字余りである。水の泡は、はかないものの喩えとして詠まれてきた。
四句「しばし宿借る」は、しばらくのあいだ宿を借りる、の意である。流れにさまよう泡が薄氷に閉じ込められてとどまるさまを、宿を借りると擬人化している。
結句「薄氷かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。はかない水の泡が、それ自体もはかない薄氷にしばしの宿を借りるという、はかなさを重ねた景である。前歌の凍っては砕ける山川を受け、その流れの泡をとどめる薄氷へと目を細かく移している。
きえかへる:消えては生じることを繰り返す
うすごほり:薄く張った氷
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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