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片敷きの袖の氷も結ぼほれ
とけて寝ぬ夜の夢ぞ短き

歌の意味
独り寝の片敷きの袖に凍った氷も固く結ぼれて、打ち解けて寝ることのできない夜の夢は短いことだ。
鑑賞
巻第六 冬歌 635

詞書「百首歌奉りし時」
 氷を詠む一連の七首目である。片敷きの袖に凍った氷も固く結ぼれ、心も解けずに寝られない夜の夢は短いと詠む。詞書によれば、百首歌を奉った時の歌である。
 作者は原文に記されず、前歌から続いて藤原良経である。関白九条兼実の子で、摂政太政大臣に至り、『新古今和歌集』の仮名序を執筆した。
 場面は冬の夜、場所は独り寝の寝所である。
 直接の契機は百首歌の詠進である。詞書には、どの催しでの百首であるかは記されていない。

 初句「片敷きの」は、衣の片袖だけを敷いて独り寝をすることをいう。本巻の第六百九首、第六百十一首に続き、独り寝の袖が詠まれている。
 二句「袖の氷も」は、袖に凍った涙の氷も、の意である。
 三句「結ぼほれ」は、固く結ぼれて、の意で、氷が固く凍りつくさまと、心が晴れずにふさぐさまとが重ねられている。
 四句「とけて寝ぬ夜の」の「とけ」には、氷が「解け」る意と、心が打ち解ける意が掛けられている。「結ぼほれ」と「とけ」は縁語である。
 結句「夢ぞ短き」は、係助詞「ぞ」を受けて形容詞「短し」の連体形で結ぶ係り結びである。袖の氷が解けないように心も解けず、ゆったりと眠れない夜は見る夢も短いという。本巻の第六百九首の「うちとけて寝ぬ夜」と同じ言い回しを、霜から氷へと移して用いている。前歌の岩間の流れから、再び寝所の袖の氷へと戻り、第六百三十三首の結ぶことのできない夢と、この歌の短い夢とが呼応している。

むすぼほる:固く結ぼれる、心がふさいで晴れない
とく:氷が解ける意と、心が打ち解ける意を掛ける
ぬ:寝る
作者
藤原良経
出典
新古今和歌集
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