- 歌の意味
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橋姫が片袖だけを敷いた衣をさむしろに敷き、待つ夜もむなしく明けてゆく宇治の曙よ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 636
詞書「最勝四天王院の障子に宇治川描きたる所」
氷を詠む一連の八首目である。ただしこの歌に氷の語はなく、さむしろに衣を片敷いて待つ宇治の橋姫の夜が、むなしく明けてゆく曙を詠む。詞書によれば、最勝四天王院の障子に宇治川を描いた所に添えた歌である。
作者は高倉天皇の皇子で、譲位ののち院政をしき、和歌所を設けて『新古今和歌集』の撰進を命じた。
場面は冬の夜の明け方、場所は山城国の宇治である。
直接の契機は、最勝四天王院の障子に描かれた宇治川の名所絵に添える歌として詠んだことである。最勝四天王院は承元元年(1207)に後鳥羽院が建てた御願寺で、その障子には諸国の名所が描かれ、歌人たちの歌が添えられた。
本歌は『古今和歌集』のよみ人しらずの歌「さむしろに衣かたしき今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫」である。
初句「橋姫の」は、宇治橋を守る女神とされる宇治の橋姫をいう。
二句「片敷き衣」は、片袖だけを敷いて独り寝をする衣をいい、本歌の「衣かたしき」を受けている。
三句「さむしろに」は、幅の狭い筵に、の意で、本歌の初句をそのまま取っている。
四句「待つ夜むなしき」は、待つ夜がむなしく過ぎた、の意である。本歌で「今宵もや我を待つらむ」と待つ姿で詠まれた橋姫の夜が、ここではむなしく明けたものとされている。
結句「宇治の曙」は体言止めで、待つ夜の明けた宇治の夜明けを示す。本歌の橋姫の待つ夜を、その翌朝の曙から振り返る形で詠み、障子絵の宇治川の景に物語のような時間を与えている。本巻の第六百十一首が霜を片敷く橋姫を詠んだのに続いて橋姫が詠まれ、次歌の第六百三十七首も「宇治の橋姫」で結ばれている。
はしひめ:橋を守る女神、特に宇治橋の橋姫
さむしろ:幅の狭い筵
しやうじ:襖や衝立など、室内を仕切る建具の総称
- 作者
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後鳥羽院
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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