志賀の浦や遠ざかりゆく波間より
凍りて出づる有明の月
- 歌の意味
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志賀の浦よ。岸から凍ってしだいに遠ざかってゆく波の間から、凍りついたような光を放って出る有明の月よ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 639
詞書「摂政太政大臣家歌合に湖上冬月」
氷を詠む一連の十一首目である。汀から凍って遠ざかってゆく志賀の浦の波間から、凍りついたように冴えた有明の月が出ると詠む。詞書によれば、摂政太政大臣の家の歌合で「湖上冬月」の題で詠まれた歌である。
作者は権中納言藤原光隆の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人であり、従二位に至って壬生二位と呼ばれた。
場面は冬の夜明け前、場所は近江国の志賀の浦である。
直接の契機は、摂政太政大臣藤原良経の家で催された歌合での「湖上冬月」(湖の上の冬の月)の題による詠である。
本歌は『後拾遺和歌集』の快覚の歌「小夜ふくるままに汀や凍るらむ遠ざかりゆく志賀の浦波」である。
初句「志賀の浦や」は近江国の歌枕で、琵琶湖の西南岸の浦をいう。「や」は詠嘆を込めて地名を示す間投助詞である。
二句「遠ざかりゆく」は、本歌の四句をそのまま取った語で、汀から凍ってゆくにつれて、波が岸から遠ざかってゆくさまをいう。
三句「波間より」は、波の間から、の意である。
四句「凍りて出づる」は、凍りついたようにして出る、の意である。湖面の氷と、冬の月の冴えた光とが重ねられている。
結句「有明の月」は体言止めで、題の「冬月」を示す。本歌が夜更けとともに汀の凍ってゆくさまを波の遠ざかりで捉えたのを受け、その遠ざかる波間から凍るように冴えた有明の月が出る景へと広げている。前歌の汀から薄く凍る入江に続き、汀から凍ってゆく湖の景が詠まれ、次歌の第六百四十首も氷に澄む月を詠んでいる。本巻の第五百九十四首、第五百九十五首、第六百八首と同じ結句でもある。
しがのうら:近江国の琵琶湖西南岸の浦
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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