うばたまの夜の更けゆけば久木生ふる
清き河原に千鳥鳴くなり
- 歌の意味
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夜が更けてゆくと、久木の生える清らかな河原で、千鳥の鳴く声がする。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 641
詞書「題しらず」
千鳥を詠む一連の一首目である。夜が更けてゆくにつれ、久木の生える清らかな河原で千鳥の鳴く声が聞こえると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は奈良時代の宮廷歌人で、自然の景を詠んだ歌にすぐれ、後世に柿本人麻呂と並んで歌聖と称された。三十六歌仙の一人である。
場面は夜更け、場所は久木の生える清らかな河原である。
直接の契機は伝わらない。
この歌は『万葉集』巻第六に、吉野の離宮への行幸の折の山部赤人の長歌に添えられた反歌として収められており、そこでは結句を「千鳥しば鳴く」とする。
初句「うばたまの」は「夜」にかかる枕詞である。
二句「夜の更けゆけば」は、夜が更けてゆくと、の意で、「ば」は已然形に付く確定条件である。
三句「久木生ふる」は、久木の生えている、の意である。久木は河原などに生える木の名である。
四句「清き河原に」は、清らかな河原に、の意である。
結句「千鳥鳴くなり」の「なり」は、音によって推し量る伝聞推定の助動詞で、闇の中に千鳥の声を聞くことをいう。夜更けの静けさの中に千鳥の声だけが響く清澄な景を詠み、千鳥の一連の始まりに置かれている。前歌までの氷の一連の池の月から、夜の河原の千鳥へと移り、次歌の第六百四十二首も夜更けの河原に鳴く千鳥を詠んでいる。
ひさぎ:河原などに生える木の名
ちどり:水辺にすむ小鳥で、冬の景物として詠まれる
- 作者
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山部赤人
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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