はかなしやさても幾夜か行く水に
数書きわぶる鴛の独り寝
- 歌の意味
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はかないことよ。それにしても幾夜、流れる水に数を書くように、独り寝の夜を数えかねて思いわびる鴛であろうか。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 652
詞書「五十首歌奉りし時」
水鳥を詠む一連の一首目である。流れる水に数を書くようなはかなさで、独り寝の夜を数えかねて思いわびる鴛を詠む。詞書によれば、五十首歌を奉った時の歌である。
作者は刑部卿藤原頼経の子で、蹴鞠と和歌の家である飛鳥井家の祖となった。『新古今和歌集』の撰者の一人である。
場面は冬の夜、場所は鴛の浮かぶ川である。
直接の契機は五十首歌の詠進である。詞書には、どの催しでの五十首であるかは記されていない。
「行く水に数書く」は、『古今和歌集』のよみ人しらずの歌「行く水に数書くよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり」を踏まえ、はかないことのたとえとして用いられている。
初句「はかなしや」は、はかないことよ、の意で、「や」は詠嘆の間投助詞である。ここで切れる初句切れである。
二句「さても幾夜か」は、それにしても幾夜であろうか、の意で、「か」は疑問の係助詞である。
三句「行く水に」は、流れてゆく水に、の意である。
四句「数書きわぶる」は、数を書こうとして書きかねる、の意で、「わぶ」は、しかねる、思いわずらう意を添える。流れる水に数を書いてもすぐに消えてしまうように、独り寝の夜を数えてもむなしいことをいう。係助詞「か」の結びとして、連体形「わぶる」が置かれている。
結句「鴛の独り寝」は体言止めで、鴛の独り寝をいう。鴛は雌雄が常に連れ添う鳥とされ、その鴛が独り寝をするという点に、連れ合いを失った悲しみが込められている。前歌までの千鳥の一連から水鳥の一連へと移り、次歌の第六百五十三首も水に浮き寝する鴨を詠んでいる。
をし:おしどり
かずかく:数を書き記す
わぶ:しかねる、思いわずらう
ひとりね:独りで寝ること
- 作者
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藤原雅経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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