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さざなみや志賀の唐崎風冴えて
比良の高嶺に霰降るなり

歌の意味
さざ波の寄せる志賀の唐崎では風が冷たく冴えて、比良の高嶺には霰が降っているらしい。
鑑賞
巻第六 冬歌 656

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 霰を詠む一連の二首目で、この一連の終わりの歌である。志賀の唐崎に吹く風が冷たく冴えるのを感じて、比良の高嶺に霰が降っているらしいと推し量る。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者は関白藤原忠実の子で、摂政、関白、太政大臣を務め、晩年に出家して法性寺に住んだ。慈円の父である。
 場面は霰の降る冬、場所は近江国の志賀の唐崎と比良山である。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「さざなみや」は、琵琶湖の南西岸一帯を指す「志賀」にかかる枕詞である。
 二句「志賀の唐崎」は近江国の歌枕で、今の大津市の琵琶湖に突き出た岬である。
 三句「風冴えて」は、風が冷たく冴えて、の意である。
 四句「比良の高嶺に」は、琵琶湖の西岸にそびえる比良山の高い峰に、の意である。
 結句「霰降るなり」の「なり」は、推し量る意の伝聞推定の助動詞である。湖畔の唐崎で肌に感じる風の冷たさを根拠に、遠く比良の高嶺に降る霰を思いやる構成で、近景の唐崎と遠景の比良とを一首に収めている。前歌が柏の葉を打つ霰の音を耳で聞いたのに対し、この歌は風の冷たさから遠い峰の霰を推し量っており、同じ「霰降るなり」の結句を持つ二首が並べられている。

さざなみ:細かく立つ波、また志賀にかかる枕詞
たかね:高い峰
作者
藤原忠通
出典
新古今和歌集
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