ふればかく憂さのみまさる世を知らで
荒れたる庭に積もる初雪
- 歌の意味
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世に長らえるとこのようにつらさばかりがまさってゆく、そんな世とも知らないで、荒れた庭に降り積もる初雪よ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 661
詞書「思ふこと侍りけるころ、初雪降り侍りける日」
雪を詠む一連の五首目である。世に長らえるとつらさばかりがまさる世であることも知らないで、荒れた庭に初雪が降り積もると詠む。詞書によれば、思い悩むことのあった頃に、初雪の降った日に詠んだ歌である。
作者は越後守藤原為時の娘で、中宮彰子に仕え、『源氏物語』を著した。
場面は初雪の降った日、場所は作者の住まいの荒れた庭である。
直接の契機は、思い悩むことのあった頃に初雪が降ったことである。
初句「ふればかく」の「ふれ」には、雪が「降れ」ば、の意と、世に「経れ」ば、の意が掛けられている。「かく」は、このように、の意である。
二句「憂さのみまさる」は、つらさばかりがまさってゆく、の意である。
三句「世を知らで」は、そのような世であることを知らないで、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
四句「荒れたる庭に」は、手入れもされずに荒れた庭に、の意である。作者の心の荒涼をも示す庭である。
結句「積もる初雪」は体言止めで、降り積もる初雪をいう。雪は降るほどに積もってゆくが、人は世に経るほどにつらさが積もってゆくという、「ふる」の掛詞による対応が一首を貫いている。何も知らずに白く積もる初雪と、つらさの積もる我が身とを対比し、詞書の「思ふこと侍りける」心を初雪に託している。前歌の神域の野辺の冬ごもりから、荒れた庭に積もる初雪へと移っている。
ふる:雪が降る意と、世に経る意を掛ける
うさ:つらさ、憂いに沈む思い
- 作者
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紫式部
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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